Cangoは2,000枚のビットコインを売却してローンを返済:マイニング企業のデレバレッジが続き、市場の圧力が一段と強まる

2026 年第 1 四半期、ビットコインマイニング業界は、深刻なバランスシート(貸借対照表)の再構築に直面している。年初以降、複数の大手上場マイニング企業が相次いでビットコインの保有資産を売却しており、その規模とペースはともに例年を大きく上回っている。2026 年 4 月 8 日に米国市場上場のビットコインマイニング企業 Cango が 3 月の運用アップデート報告書を公表し、当月に 2,000 枚のビットコインを売却したこと、そして売却代金がビットコイン担保ローンの返済に充てられたことを明らかにした。この一連の対応により、Cango のビットコイン保有量は 1,025.69 枚まで減少し、未返済の担保ローン残高は 3,060 万ドルとなった。2026 年 4 月 9 日時点で、Gate の相場データによれば、ビットコインの現物価格は 70,949.6 ドル、24 時間の取引高は 731,940,000 ドル、市場規模(時価総額)は 1.33 兆ドル、市場占有率は 55.27% である。Cango の今回の減持は孤立した出来事ではなく、マイニング企業全体がレバレッジを解消する波の中での象徴的な節目だ。本稿では、まず事実関係から出発して、その背後にある構造的な動因を分解し、業界データのより深い意味を検討したうえで、複数のシナリオにおける進化の道筋を推測する。

継続する戦略的なレバレッジ解消

2026 年 4 月 8 日、Cango Inc.(NYSE: CANG)が 3 月の運用アップデート報告書を公表し、以下のコアデータを開示した。すなわち当月、自己採掘で 27.98 枚の BTC を生産し、さらに 2,000 枚のビットコインの戦略的な売却を 1 件完了した。売却代金はいずれも BTC の担保ローン返済に全額充当された。3 月 31 日時点で、同社の未返済のビットコイン担保ローン総額は 3,060 万ドルであり、ビットコイン準備(備蓄)は 1,025.69 枚まで減少している。

タイムラインを見ると、これは Cango にとって 2026 年における 2 回目の大規模な減持だ。2 月、同社は 4,451 枚のビットコインを売却し、現金化は約 3.05 億ドルだった。これもまた、関連当事者に対する長期債務の返済に充てるとともに、AI への転換に向けた資本支援を行うためのものだった。2 回の減持を合計すると 6,451 枚となり、Cango は 2 か月の間に、これまで積み上げてきたビットコイン準備の大半をほぼ一掃したことを意味する。

Cango は運用アップデートの中で、今回のレバレッジ解消は、直近の複数回の資本注入と組み合わせて行われたことを明確に指摘している。これには、経営陣による 6,500 万ドルの株式出資や、DL Holdings による 1,000 万ドルの転換社債(コンバーチブル・ボンド)が含まれる。こうした取り組みは、バランスシートを大幅に強化し、同社がエネルギーおよび AI インフラ領域へ戦略的に転換するための財務的基盤を提供している。

注目すべきは、Cango の 2025 年通年の総合採掘コストが 97,272 ドル/枚に達し、通年の純損失が 4.528 億ドルだった点だ。しかし 3 月の運用データでは、同社の 1 枚当たりのビットコイン平均キャッシュコストは 68,215.83 ドルまで低下しており、2025 年第 4 四半期の 84,552 ドルから 19.3% 下がっていることが示されている。コスト面での大幅な改善は、準備資産の大規模売却と並行しており、Cango が「生存」と「転換」の間で的確なバランスを取っていることをうかがわせる。

マイニング企業による集団的な投げ売りの波

Cango の減持は単発の例ではなく、2026 年第 1 四半期におけるマイニング企業全体の投げ売りの波の一部を映し出している。以下は主要な上場マイニング企業の直近の減持に関する主なタイムポイントだ。

  • 2025 年 12 月:Riot Platforms が 1,818 枚の BTC を売却し、現金化は約 1.62 億ドル。
  • 2026 年 1 月:Bitdeer がすべてのビットコイン在庫を清算し、ゼロの保有(ゼロポジション)を実現。Core Scientific が約 1,900 枚の BTC を売却し、現金化は約 1.75 億ドル。
  • 2026 年 2 月:Cango が 4,451 枚の BTC を売却し、保有の約 60% に相当。現金化は約 3.05 億ドル。
  • 2026 年 3 月:MARA Holdings が 3 月 4 日から 25 日までの期間に累計で 15,133 枚の BTC を売却し、現金化は約 11 億ドル。Cango は 2,000 枚の BTC を売却。
  • 2026 年 4 月初旬:Riot Platforms が機関投資家向けカストディ(保管)プラットフォームへ 500 枚の BTC を移管し、5 日以内に累計 1,500 枚を移管して在庫(売却前の保有)の解消傾向を継続。オンチェーンの監視では、MARA 関連アドレスが再び 250 枚の BTC を送出したことが示されている。

総量の観点では、複数の上場マイニング企業が 2026 年第 1 四半期に合計で 19,000 枚超の BTC を売却している。この規模は 2022 年の弱気相場期におけるマイナーの売却量を大きく上回り、さらに売却のペースもより集中しており、戦略性も高い。従来のように運営コストをまかなうための受動的な売却とは異なり、今回の投げ売りには明確な主導によるレバレッジ解消の色が濃い。

コスト逆転と資産構造の再構築

採掘コストと市場価格の構造的な「はさみ(スプレッド)」

今回のマイニング企業による売却の中核的な推進力は、採掘コストとビットコインの市場価格の間で広がり続ける「スプレッド(はさみ)」にある。CoinShares が公表した 2026 年第 1 四半期のマイニングレポートによれば、2025 年第 4 四半期における上場マイニング企業の 1 ビットコインを生産する加重平均のキャッシュコストは、約 79,995 ドルまで上昇した。一方でビットコイン価格は長期的に 68,000 から 70,000 ドルのレンジで推移しており、つまり 1 BTC を採掘するごとに、マイニング企業は理論上約 19,000 ドルのキャッシュ損失を負う計算になる。

より精緻な指標である「ハッシュレート価格(算力価格)」は、3 月初旬に一時、1 日あたり 1 ペタハッシュ(拍ハッシュ)あたり 28 から 30 ドルまで低下し、半減期後の歴史的な最安値を記録した。この水準では、旧世代のハードウェアを使用する多くのマイニング企業が、キャッシュ利益を維持するためには電力コストを 1 kWh あたり 0.05 ドル未満に抑える必要がある。世界のマイニング機器のうち約 15% から 20% が、損益分岐点の瀬戸際にある。

この「コスト逆転」が起きる根源は、2024 年 4 月のビットコイン半減に遡る。ブロック報酬は 6.25 BTC から 3.125 BTC へと半減し、マイナーの中核的な収益が直接的に圧縮された。これに加えて、世界的なエネルギー価格の上昇、新世代 ASIC マイナー機の更新に伴う資本支出(CAPEX)負担、そしてネットワーク難易度の継続的な上昇が重なり、採掘の総合コストは歴史的な高水準を次々に更新している。

上場マイニング企業の売却量が生産量を大きく上回るという構造的変化

以下は、主要な上場マイニング企業における直近の売却量と生産量の比較だ。

マイニング企業名 売却時期 売却数量 同期の自己採掘生産量 売却/生産 倍数
Riot Platforms 2026 年 Q1 3,778 枚 1,473 枚 約 2.6 倍
MARA Holdings 2026 年 3 月 15,133 枚 約 8,799 枚(2025 年通年) 約 1.7 倍
Cango 2026 年 3 月 2,000 枚 27.98 枚 約 71.5 倍
Bitdeer 2026 年 1 月 全額清算 100%

上記の比較から、重要な構造変化が見えてくる。上場マイニング企業の売却量は、当該四半期における追加生産量を大幅に上回っている。これは、マイニング企業が運営コストをまかなうために、新たに採掘したビットコインだけを売っているのではなく、それ以前に積み上げた在庫資産を体系的に売却していることを意味する。この行動は、「長期保有」戦略が、コストの圧力と戦略転換のニーズの前で根本的に緩んだことを示す。

Cango のコスト最適化の道筋

Cango は 3 月に 1 枚あたりのビットコイン平均キャッシュコストを 68,215.83 ドルまで引き下げており、2025 年第 4 四半期から 19.3% 減少している。コスト最適化の道筋には、以下が含まれる。非効率的なマイニング機の淘汰、高い保管(カストディ)コストがかかる地域での算力リース方式の採用、そして算力の移管を電力価格がより競争力のある地域へ行うことだ。3 月 31 日時点で、Cango の総運用算力は 37.01 EH/s であり、そのうち自己採掘算力は 27.98 EH/s、算力リースは 9.02 EH/s となっている。

コストは大幅に改善したものの、ビットコイン価格が約 70,000 ドルの環境では、キャッシュベースの利益率は依然として薄い。これが、コスト最適化を行いながらも Cango が準備資産を大規模に売却する理由の説明になる。つまり、在庫ビットコインを売却することは、迅速にレバレッジを解消する最も直接的な手段だということだ。

3 つの物語が交差する市場の見方の相違

マイニング企業の集団的な投げ売りをめぐって、市場の世論は 3 つの主要なナラティブ(物語)を示しており、それぞれ異なる焦点を当てているが、互いに絡み合っている。

コスト圧力のもとでの受動的な投げ売り

1 つ目の見方は、マイニング企業の売却は本質的に「コスト逆転」による受動的な生存戦略だと考える。1 枚当たり約 19,000 ドルの損失を出してまで採掘を続けると、キャッシュフローを際限なく消費してしまう。マイニング企業は、電源を落として損切りするか、運営を維持するために準備として保有していたビットコインを売却するかのいずれかを迫られる。MARA や Riot などの大手マイニング企業は後者を選んだ。このナラティブでは、投げ売りを周期的な弱気相場における通常現象として捉える。すなわち、マイナーが降参することは、歴史的に市場が底を打つ兆候の 1 つだ。2018 年と 2022 年にも同様の状況が見られた。

AI 基盤(インフラ)への戦略的転換

2 つ目の見方は、今回の投げ売りにはこれまでと本質的な違いがあるとする。つまり、ビットコイン売却で得た資金は、採掘コストを賄うためだけではなく、AI と高性能計算(HPC)インフラ分野へ再配分されているということだ。CoinShares のレポートによれば、上場マイニング企業は 700 億ドル超の AI と HPC に関する契約を締結しており、2026 年末までに一部のマイニング企業の AI 収益の比率は最大 70% に達する可能性がある。Bloomberg の分析では、これまでコストを賄うために売却していたのとは異なり、今回の投げ売りの資金は人工知能分野へ再配分されつつあるとされている。

バランスシート運営上の合理的な選択

3 つ目の見方は、債務管理の観点に焦点を当てる。MARA は 15,133 枚の BTC を売却し、その資金を約 9% のディスカウントで約 10 億ドルの額面を持つ転換社債(コンバーチブル・ボンド)の買い戻しに直接充当しており、未返済の転換社債の規模は約 30% 減少した。Cango は BTC を売却し、ビットコイン担保ローンの返済に充てている。これらの行為は、資本運用の観点から見ると典型的なバランスシート運営の一例であり、高金利環境下では、コストが高い、またはリスクエクスポージャーが大きい負債を優先的に圧縮することが、合理的な財務判断だということになる。

3 つのナラティブは排他的ではなく、それぞれ同じ現象の異なる側面を明らかにしている。すなわち、売却行為には、生存の圧力(コスト)、戦略的なアップグレード(AI 転換)、財務面での最適化(レバレッジ解消)の 3 つの意図が同時に込められている。

ナラティブの真実性を検証する:分解と確認

1 枚採掘するごとに 19,000 ドルの損失は誇張ではないか?

CoinShares のレポートにある 79,995 ドルの加重平均キャッシュコストは、その統計の対象が上場マイニング企業グループ全体である。一方、マイニング企業ごとにコスト構造の違いは非常に大きい。Cango の 3 月のキャッシュコストはすでに 68,215.83 ドルまで低下している。ビットコイン価格を 70,000 ドルとすると、Cango は実際には損益分岐点にかなり近く、1 枚あたり 19,000 ドルの損失というわけではない。したがって、「全業界で 1 枚採掘するごとに 19,000 ドルの損失」という主張は、上場マイニング企業グループにおける平均水準として理解されるべきであり、すべてのマイニング企業に当てはまる一般化した結論ではない。個々のマイニング企業の実際の損益状況は、その具体的なコストと効率の水準を踏まえて判断する必要がある。

マイニング企業の売却は BTC への信頼喪失を意味するのか?

MARA は 15,133 枚の BTC を売却した一方で、残るビットコイン保有は依然として数十億ドル規模に及んでいる。Riot は減持後も 15,680 枚の BTC を保有している。Cango は大幅に減持したものの、依然として 1,025.69 枚の BTC を準備(備蓄)として保持している。これらの事実は、マイニング企業がビットコイン市場から全面撤退しているわけではなく、資産構造の再バランスを行っていることを示している。すなわち、「ビットコインにすべて賭ける」から「複数資産による配置」へと転換し、ビットコインを流動性ツールとして、より幅広い事業転換のために活用しているということだ。

AI 転換は本当に転換なのか、それとも物語の装飾(包装)なのか?

すでに締結されている 700 億ドル規模の AI/HPC 契約は、紙面上の約束ではない。Core Scientific の AI のホスティング(運用・保管)収益は総収益の 39% を占めており、TeraWulf は 27%、さらに CoreWeave と Core Scientific は 12 年間で総額 102 億ドルの価値を持つ拡大提携契約に署名している。これらのデータは、AI 転換が単なるナラティブ(物語)によるマーケティングではなく、実際のキャッシュフローによって裏打ちされたビジネスモデルの再構築であることを示している。しかし、マイニング企業が従来の採掘から AI インフラへ転換するには、技術的な障壁、顧客獲得コスト、資本集約的な投資といった課題がある。そのため、転換の成功率は企業ごとに異なり、慎重な姿勢で継続的に追跡・観察する必要がある。

業界への影響分析:算力の移り変わりから需給構造へ

マイニング業界への深遠な影響

マイニング企業の集団的な売却と AI 転換は、ビットコインマイニング業界の基本構造を再形成している。ビットコインネットワークの算力は、ピーク時の約 1,160 EH/s から、約 920 EH/s へと低下した。2026 年第 1 四半期には、全体の算力がまれに 4% 低下した。算力の低下は一方で、残留するマイナーの競争圧力を和らげる(難易度調整メカニズムによって難易度が下がる)と同時に、ネットワークの安全性に関する長期的なコストについての議論を引き起こしている。

より深い変化は、業界の位置付け(役割)の再構築だ。AI 契約を持つマイニング企業は、純粋な採掘企業の約 2 倍に相当するバリュエーション・プレミアムを上乗せした条件で取引されている。評価ロジックは「算力規模」から「電力資産の多様な収益化能力」へと移った。マイニング企業のアイデンティティは、「ビットコインの生産者」から、「たまたままだ採掘しているエネルギー・インフラ運営者」へと移行しつつある。

市場への多面的な波及

市場の供給サイドから見ると、マイニング企業の集団的な売却は、ビットコインの流通供給量を押し上げている。CryptoQuant のデータによれば、3 月末時点でビットコインの見かけ上の需要はマイナス 63,000 枚まで低下しており、市場全体の買いの勢いが弱まっていることを示している。マイニング企業の売却は、市場の短期的な供給圧力を生み出す重要な要因の 1 つとなっている。

ただし、市場には顕著な構造的な分断も見られる。1 つは、マイニング企業と一部の企業が経営上の圧力から減持を選ぶこと。一方で、少数の機関が継続的に買い増している。Strategy は 3 月の 1 か月間で 44,377 枚のビットコインを購入し、上場企業による総購入量の 94% を占めている。日本の上場企業 Metaplanet は第 1 四半期に 5,075 枚のビットコインを増やし、総保有は 40,177 枚まで上昇した。このような集中化の傾向は、ビットコイン需要が消えているのではなく、資金力のより強い参加者へと集約されていることを示している。

結論

Cango が担保ローン返済のために 2,000 枚のビットコインを売却することは、ミクロな出来事であると同時にマクロなシグナルでもある。これは、現在のビットコインマイニング業界が直面している二重の構造変化を明らかにしている。1 つ目として、半減の後に訪れたコスト圧力によって、「保有至上」の従来戦略が持続しにくくなっていること。2 つ目として、AI インフラの台頭が、マイニング企業にビットコイン価格のサイクルから切り離された代替パスを提供していることだ。マイニング企業のアイデンティティは、単なる「ビットコインの生産者」から、「エネルギーおよび算力インフラ運営者」へと変わりつつある。市場参加者にとって、この構造的な転換を理解すること――短期の価格変動だけに注目するのではなく――が、マイニング業界の長期的価値を評価するうえでの重要な前提となる。

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