今晩21:30、米国の雇用統計（非農就業者数）が発表されますが、今回は少し異例です。

正直、このデータの背後にあるストーリーは少し複雑です。米国政府のシャットダウンにより延期され、今回は10月と11月の2か月分のデータを一気に補完する形になりますが、問題は—10月の失業率が直接欠落していることと、11月の統計誤差も例年より大きくなる可能性があることです。市場の予測も大きく分かれており、11月の新規雇用者数の中央値予想は5万人に過ぎませんが、各機関の見解はバラバラです。減少予測もあれば、13万増加と予測するところもあり、全く共通認識がありません。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった大手も意見を対立させており、FRB議長のパウエル氏は「非農業部門の雇用統計は過大評価されている可能性がある」とまで言及しています。

さらに面白いのは、市場の反応の論理が逆転している点です。かつては「良いデータ＝市場上昇」でしたが、今は逆に見なければなりません。強い雇用データは労働市場の弾力性を示し、これがFRBの利下げ可能性を低下させるため、米株や金は逆に圧迫されやすくなります。一方、「穏やかな軟調」データは崩れませんが十分に強くもなく、むしろ利下げ期待を刺激し、リスク資産にとっては「甘い瞬間」が訪れる可能性があります。

金の動きを見れば一目瞭然です。以前は4300ドルの高値を突破した後に調整しましたが、今夜のデータが予想通り軟調であれば、買い勢は再び435ドル付近を目指して力強く動き出す可能性が高いです。

相場はまもなく動き出します。皆さんも落ち着いて見守り、波動に引きずられないようにしましょう。