バフェットが懸念するEBITDAマージン 投資家が知るべきこと

多くの世界的な大口投資家は企業分析においてEBITDAの数字に惹かれていますが、「おじいちゃん」ウォーレン・バフェットは異なる見解を持っています。彼はこの数字には深刻な問題点があると考えています。これはEBITDAが役に立たないという意味ではなく、むしろそれを卵の殻の上に立って使っているようなものであるということです。

なぜバフェットはEBITDAを好まないのか

ウォーレン・バフェットはしばしば、EBITDAが企業が実際に支払わなければならない重要な費用、例えば利息、税金、減価償却費、償却費を回避している点を指摘します。これらは偽りではなく、企業が運営から実際に積み重ねている真のコストです。これらを除外すると、企業の本当の健全性の全体像は見えなくなります。

さらに、EBITDAの数字は調整可能であり、多くの場合、企業の真実を隠すために操作されることがあります。Teslaや成長段階のスタートアップ企業などは、投資家を安心させるためにEBITDAを誇張して示すことがあります。

EBITDAとは何か、はっきりさせよう

批判する前に、EBITDAが何を意味するのか理解しましょう:Earnings Before Interest, Tax, Depreciation, and Amortization(利息、税金、減価償却費、償却前の利益)です。

簡単に言えば、これは企業の主要な営業活動から得られるキャッシュフローであり、追加の費用を差し引く前の数字です。これにより、バフェットは企業の状況をより明確に把握できると考えています。

簡単なEBITDAの計算方法

企業のEBITDAを知りたい場合は、次の式を使います:

EBITDA = 税引前利益 + 金融費用 + 減価償却費 + 償却費

または、

EBITDA = EBIT + 減価償却費 + 償却費

実例:タイ・プレジデント・フーズ(บริษัท THAI PRESIDENT FOODS)の2020年の数字は以下の通りです:

  • 税引前利益:5,997,820,107バーツ
  • 金融費用:2,831,397バーツ
  • 減価償却費:1,207,201,652バーツ
  • 償却費:8,860,374バーツ

EBITDA = 5,997,820,107 + 2,831,397 + 1,207,201,652 + 8,860,374 = 7,216,713,530バーツ

EBITDAと営業利益(Operating Income)の違い

この二つの数字を比較することで、バフェットが懸念している点が見えてきます。

EBITDAは、利息、税金、減価償却費、償却費を差し引かないため、数字が高くなりがちです。

一方、営業利益はすべての費用を差し引いたもので、より実態に近い利益を示します。

例:

  • 営業利益は、事業に関わるすべての費用を差し引いた後の数字です。
  • EBITDAは、多くの費用を加え戻すことで、あたかも純粋な営業キャッシュフローのように見せかけるものです。

これが、バフェットがEBITDAの数字に対して懐疑的な理由です。

EBITDAマージン:良い数字はどれくらい?

EBITDAマージンは、企業が売上高からどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標です。

EBITDAマージン = (EBITDA / 総売上高) × 100

良いEBITDAマージンは10%以上とされ、高いほどコスト管理ができていることを示します。ただし、注意点もあります。高いEBITDAマージンが必ずしも現金収入や実質的な利益を保証するわけではありません。なぜなら、一部のコストは含まれていないからです。

EBITDAを正しく使うために

1. 短期的に使う: EBITDAは、企業が借入金を返済できるかどうかを見るのに適しています。ただし、長期的な分析には向きません。なぜなら、減価償却は実際に発生するコストだからです。

2. 単一の指標に頼らない: 賢い投資家は、EBITDAだけを見るのではなく、純利益やキャッシュフロー、負債比率など他の指標も併せて確認します。

3. 過剰な誇張に注意: スタートアップや成長企業は、しばしばEBITDAを誇張して見せる傾向があります。一方で、損失を黙っていることもあります。

深い注意点

調整可能な数字: EBITDAは、特定の費用を加え戻すことで調整可能です。例えば、減価償却の計算方法や負債の扱いを変えることができます。

実際のキャッシュフローを反映しない: EBITDAは「現金」を示すと誤解されがちですが、実際には支払うべきコストを反映していません。企業が損失を出している場合もあります。

本当の企業の持続可能性を示さない: EBITDAは資本構造や資産の状況、流動性を無視しています。これらを考慮しなければ、企業の存続可能性は見えません。

重要なポイント

EBITDA (Earnings Before Interest, Tax, Depreciation, and Amortization)は、同じ業界内の企業間の比較に役立ちますが、ウォーレン・バフェットや他の優れた投資家はこの数字だけに頼りません。

実際、EBITDAは、家の外観だけを見て中身を見ていないようなもので、カーテンで隠しているだけです。ひび割れがなくなるわけではありません。減価償却費、利息、税金は実際に支払うべきコストであることを忘れずに、総合的な判断を行うことが重要です。

良い投資判断を下すには、EBITDAマージンに加え、純利益やキャッシュフロー、負債比率など他の指標も併せて確認し、企業の全体像を把握しましょう。そうすれば、バフェットも納得できる判断ができるでしょう。

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