配当利回りが投資リターンを決定する 高配当株の選び方は?

なぜ投資家は配当株にますます注目しているのか?

近年、市場の変動が激化し、多くの投資家は高成長株の追求から安定した配当を出す上場企業へとシフトしています。この種の株式が人気を集める主な理由は、比較的確実なキャッシュリターンを提供し、市場リスクのバランスを取るのに役立つからです。経済の見通しが不透明なときには、この定期的な配当の特性が特に魅力的に映ります。

初心者投資家にとっては、配当利回りを通じて適切な投資対象を見つけることはしばしば難題です。この記事では、基本的な知識と実践的な方法を整理し、複雑な金融環境の中でより賢明な意思決定を行う手助けをしたいと思います。

配当利回りの本質は何か

配当利回り(Dividend Yield)は、企業が株価に対して毎年支払う配当金の割合を示す重要な財務指標です。これは、1株あたりの配当収益と現在の株価の二つの要素を組み合わせたもので、株価を考慮に入れることで、投資1単位あたりの収益水準をより正確に反映します。

業種や企業の成長段階によって、配当政策に対する態度は大きく異なります。成長期の企業は通常、利益を事業拡大に再投資し、配当を控える傾向があります。一方、成熟し安定した企業は配当を積極的に行い、年々増加させることもあります。

産業別に見ると、不動産投資信託(REITs)、公益事業、日用品、エネルギー関連企業は一般的に高い配当利回りを提供しています。

配当利回りの計算ロジック

計算式は以下の通りです:

配当利回り = 年間配当金 ÷ 株価

例として、ある企業の株価が10ドルで、年間配当が1ドルの場合、配当利回りは10%です。

もし、ある企業の配当利回りが年々上昇している場合、これは良い兆候と見なされることがあります。なぜなら、企業の経営が良好で配当が増加していることを示すからです。ただし、注意すべきは、配当利回りの上昇が株価の下落による場合もあるため、その場合は個別に分析し、好材料かリスク要因かを判断する必要があります。

配当利回りを計算する際には、配当の支払い頻度も考慮しなければなりません。多くの企業は四半期ごとに配当を出しますが、月次や年次の企業もあります。例えば、不動産投資信託のRealty Incomeは月次配当を採用しており、マクドナルドは四半期配当です。支払い頻度が異なるため、直接比較は誤解を招く可能性があります。

正しい方法は、これらを年換算して比較することです。仮に、Realty Incomeが月に0.25ドル(年間3.05ドル)を支払い、マクドナルドが四半期に1.52ドル(年間6.08ドル)を支払う場合、マクドナルドの年間配当額は大きいですが、株価を考慮すると、Realty Incomeの配当利回りの方が高くなることもあります。

企業名 コード 配当頻度 一回あたりの配当 年間配当 配当利回り
Realty Income O 月次 $0.25 $3.05 4.7%
マクドナルド MCD 四半期 $1.52 $6.08 2.3%

高配当投資の核心的魅力

安定したキャッシュフロー

高配当株の最大の魅力は、その収益の安定性にあります。株価が変動しても、投資家は四半期ごとに比較的一定の配当を受け取ることができます。このキャッシュフローは、定期的な収入を望む投資家にとって特に重要であり、配当収入を日常の生活費の一部としている人もいます。

企業の財務状況のバロメーター

高配当を維持できる企業は、一般的に財務基盤が堅実であることを意味します。配当は企業の利益から支払われるため、赤字企業は配当を出せません。長期にわたり安定した高配当を続けられる企業は、収益力が強く、財務状況も良好であり、株価も比較的安定しています。

複利効果による価値増大の可能性

投資家は得た配当金を再投資して、より多くの株式を購入することができます。これにより、複利効果が生まれます。例を挙げると、1万ドルを投資して、1株20ドルの株式を500株購入し、配当利回りが5%の場合、最初の年の配当は500ドルです。これを再投資して株式を買い増すと、次の年には株数が増え、資産も増加します。例えば、2年目には526株、5年目には約12240ドルに成長します(初期投資の22.4%増)。株価が一定と仮定した場合のシナリオです。株価が上昇すれば、実際のリターンはさらに良くなります。

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
株価 $20 $20 $20 $20 $20
保有株数 500株 526株 553株 582株 612株
総資産 $10000 $10520 $11060 $11640 $12240
配当利回り 5% 5% 5% 5% 5%
年間配当 $500 $526 $553 $582 $612

高配当株選択の誤解と注意点

高配当だからといって良い投資機会とは限らない

高配当利回りの背景にはさまざまな理由があります。増配(好材料)による場合もあれば、株価の大幅下落に伴う結果として一時的に高くなる場合もあります(リスクの兆候)。例えば、エクソンモービルの配当利回りは2020年の6.1%から2022年には3.3%に低下しています。これは配当が減ったわけではなく、株価が大きく上昇したためです。実際、配当は安定的に増加しており、これは良い兆候です。

多角的な指標の注視が必要

配当利回りだけでなく、配当性向(Payout Ratio)も重要です。これは、純利益に対する配当金の割合を示します。配当性向が高まっているのに企業の利益が伸びていなければ、利益を取り崩して配当を維持している可能性があり、危険信号です。

2020年に赤字に陥ったエクソンモービルも、配当を続けていましたが、配当性向の観点からは問題が見えます。投資判断には、財務諸表や配当の歴史、資産負債表など複数の側面を総合的に分析する必要があります。

配当利回りはどのくらいが適正か?高配当株の選び方

一般的には、配当利回りが4%以上であればかなり良い水準とされます。ただし、この基準は絶対的なものではなく、企業の質や業界の特性も考慮しながら総合的に判断すべきです。

条件に合った銘柄を見つけるには、株式スクリーニングツールを活用します。多くの投資プラットフォームにはスクリーニング機能があり、配当利回り範囲、時価総額、配当増加率など複数の条件を設定して、条件に合う銘柄を抽出できます。

スクリーニングの手順はおおむね次の通りです:スクリーニングメニューに入る→条件設定(配当利回り、時価総額など)→配当利回り順に並べ替え→上位の高配当銘柄を確認。

近年の高配当銘柄一覧

2020年から2023年までの間に配当利回り4%以上を示した代表的な銘柄を紹介します。これらは不動産信託、エネルギー、消費財、通信など多様な産業をカバーしています。

2023年の配当利回り4%以上の代表銘柄

コード 企業名 産業 株価(2023.04) 年度配当 配当利回り 直近3年平均配当利回り
ABR アーバー不動産信託 不動産信託 $11.49 $1.60 13.93% 10.80%
ARCC アルセス 資産運用 $18.27 $1.92 10.51% 10.57%
HIW ハイウッズ物件 不動産信託 $23.19 $2.00 8.62% 5.87%
MMP マゼラン油ガス 石油・ガス輸送 $54.26 $4.19 7.72% 10.03%
EPD エンタープライズ・プロダクツ 石油・ガス輸送 $25.90 $1.90 7.57% 9.37%
ENB エナジーブリッジ 石油・ガス輸送 $38.15 $3.58 6.85% 7.97%
MAIN メインストリート・キャピタル 資産運用 $39.46 $2.99 6.84% 8.13%
VZ ベライゾン 通信 $38.89 $2.61 6.71% 5.60%
KMI キンドルモーガン 石油・ガス輸送 $17.51 $1.11 6.45% 7.46%
DOC フィジシャンズ・リアルティ・トラスト 不動産信託 $14.93 $0.92 6.16% 5.83%

2022年の配当利回り4%以上の代表銘柄

コード 企業名 産業 株価(2023.04) 年度配当 配当利回り 直近3年平均配当利回り
LUMN ルーメン・テクノロジーズ 通信サービス $2.65 $1.00 19.2% 13.16%
CIM シメラ投資 不動産信託 $5.64 $0.92 17.4% 14.43%
IEP アイカン・エンタープライズ 石油・ガス $51.70 $8.00 16.4% 19.30%
MPLX MPLX LP 石油・ガス中継 $34.35 $3.10 9.7% 12.10%
MO オシア タバコ $44.62 $3.76 8.4% 8.93%

2021年・2020年の高配当銘柄

過去2年間の高配当銘柄の中には、AT&Tの2021年の配当利回り12.1%、MPLX LPの10.6%などもあります。2020年には、アエントロ・ミッドストリームが19.8%の配当利回りを記録しました。ただし、こうした極端に高い数字はリスクも伴うため、慎重に判断する必要があります。

現金配当の特徴

現金配当は最も一般的な配当形態であり、企業が現金で株主に支払う配当金を指します。株価の変動による利益獲得とは異なり、現金配当は比較的安定しており、株価の変動に関わらず一定の金額を受け取れることが多いです。これが、多くの保守的な投資家がこのタイプの株式を好む理由です。

まとめ

高配当株を選ぶ際のポイントは、単に表面的な配当利回りの数字だけを見ることではありません。配当利回りがどの程度適正かという問題には絶対的な答えはなく、企業の成長見通しや財務の健全性、配当の持続性など、多角的に判断する必要があります。一般的には、配当利回りが4%を超えると優秀とされますが、同時に株価下落による虚高のリスクも排除しなければなりません。科学的なスクリーニングツールや企業の基本的な財務分析、配当性向の動向を追うことで、長期的に価値のある高配当株を見つけることができるでしょう。

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