## Vertex、Alpine Immune Sciences買収で免疫療法ポートフォリオを強化 – Povetaciceptは多疾患ソリューションとして位置付け

**戦略的な組み合わせにより、有望なIgAN治療の患者への早期提供を加速**

Vertex PharmaceuticalsとAlpine Immune Sciencesは正式に合併契約を締結し、VertexはAlpineを1株あたり$65 ドルで買収します。全額現金取引の評価額は約49億ドルです。この統合により、科学革新に沿った2つの組織が結びつき、Vertexのタンパク質工学と標的免疫療法の能力が大きく拡大します。両取締役会の全会一致の承認を得ており、通常のクロージング条件とHart-Scott-Rodinoの承認を経て、2024年第2四半期に完了する予定です。

**Alpineの臨床資産は主要な未充足医療ニーズに対応**

この買収の中心には、povetacicept (ALPN-303)があります。これは、自己免疫疾患に関与するBAFFとAPRILサイトカインを標的とする二重拮抗薬です。第2相試験において、この分子はIgA腎症 (IgAN)において最優秀クラスの効果を示す可能性を持っています。これは、アメリカ人約13万人に影響を及ぼす深刻で進行性の腎疾患であり、世界的に最も一般的な原発性糸球体腎炎の一種です。現在、IgANの根本的な疾患メカニズムを標的とした承認済み治療薬はなく、患者は治療選択肢が限られ、多くが末期腎不全に進行しています。

Povetaciceptの作用機序は、免疫療法の中で独自の位置付けを持ちます。BAFFとAPRILの両方を阻害することで、B細胞、T細胞、自然免疫細胞の活性化を調節します。前臨床評価では、単一標的阻害剤と比較して優れた結合親和性と効力を達成しています。この分子は、2024年後半に第3相臨床試験に進む見込みです。

**パイプライン内製品の可能性が広範な機会を開く**

IgAN以外にも、povetaciceptはAlpineとVertexが「パイプライン・イン・ア・プロダクト」と呼ぶ、複数の深刻な自己免疫疾患に適用可能な単一治療薬として大きな期待を集めています。活動中の臨床試験は、膜性腎症、ループス腎炎、自己免疫性血球減少症で進行中で、それぞれが重要な市場であり、未充足の医療ニーズが存在します。この多疾患適応の可能性は、買収の商業的・臨床的価値を大きく高めます。

**補完的な専門知識がVertexの科学プラットフォームを強化**

Vertexにとって、この買収は単一資産の確保を超えた意義を持ちます。Alpineのタンパク質工学の専門知識と免疫療法開発能力は、Vertexの既存の技術基盤に重要な深みを加えます。同社は、工学的タンパク質プラットフォームを臨床的に検証された候補に変換した実績を持ち、その知見をより広範なパイプラインに活用する計画です。

VertexのCEO、Reshma Kewalramaniは次のように強調しました。「Alpineは、専門市場の深刻な疾患に対して変革的な医薬品を提供するという我々の使命をさらに推進する魅力的な適合です。povetaciceptを加速したスケジュールで進め、その全治療ポテンシャルを複数の自己免疫疾患にわたって探求していきます。」

Alpineのエグゼクティブチェアマン兼CEO、Mitchell H. Goldは、共同の価値観を次のように述べました。「Vertexの患者結果へのコミットメントと絶え間ない革新へのアプローチは、Alpineの文化と密接に一致しています。このパートナーシップにより、自己免疫および炎症性疾患において意義のある臨床的インパクトを生み出す能力が高まります。」

**取引の構造とスケジュール**

Vertexは、すべてのAlpine株式に対して$65 ドルの現金買付提案を開始し、2024年第2四半期にクロージングを予定しています。取引の株式価値は約49億ドル、純額では約46億ドルの現金を取得した後の評価となります。両者を支援する主要な金融・法務アドバイザーには、Vertex側のLazardとSkadden、Alpine側のCenterview PartnersとFenwick & Westがあります。

2024年4月10日に予定されているカンファレンスコールでは、詳細情報が提供されます。Vertexは午後4時30分（ET）にプレゼンテーションを行い、その後午後5時15分（ET）にAlpineの臨床データについての議論が行われ、RUBY-3 Phase 1b/2a povetacicept試験の最新結果が投資コミュニティと共有されます。

**免疫療法開発におけるより広い意義**

この買収は、専門的治療薬分野における業界の動向を示しています。臨床資産の検証済みの効果に基づく統合が進む中、povetaciceptのPhase 2 IgAN試験で示された効果は、最優秀クラスの潜在能力を持つことを示し、この評価の土台となりました。免疫療法の勢いを追う投資家にとって、この取引は、特に腎疾患において検証済みの治療法が乏しい中、二重メカニズムのBAFF/APRIL阻害が有望な治療アプローチであるとの信頼を新たにしています。

Alpineの工学的タンパク質能力とVertexの規模、規制の専門知識、商業インフラの組み合わせにより、povetaciceptは患者への早期提供に向けて大きく加速される見込みです。