自己免疫治療の突破口:Cabaletta BioのCAR-T療法が希少筋疾患に対してFDAの認可を獲得

筋肉の炎症性疾患で効果的な治療法が見つかっていないものは長らく臨床上の課題でした。最近、バイオテクノロジー分野では、エンジニアリングされた細胞療法を専門とするフィラデルフィア拠点の企業が、その調査段階のアプローチに対して重要な規制認証を得たことで、大きな節目を迎えました。

FDA、CABA-201に孤児薬指定を付与

米国食品医薬品局(FDA)は、CABA-201に対して孤児薬指定(ODD)を付与しました。これは、筋力低下と炎症を特徴とする重篤な自己免疫疾患群である特発性炎症性筋疾患の治療にとって重要な瞬間です。Cabaletta Bioは、B細胞を中心とした自己免疫疾患に対処するために、4-1BBを含む完全ヒト由来のCD19-CAR T細胞療法としてCABA-201を設計しました。

この規制認証には具体的なメリットも伴います。孤児薬指定は、臨床試験費用の部分的な税額控除、FDAの使用料免除、そして最大7年間の販売独占権などのインセンティブを治療候補に付与し、少数の患者に対する治療薬開発を支援します。

免疫リセット戦略の仕組み

この戦略の仕組みは高度で、CABA-201は単回投与によってCD19陽性B細胞を深く一時的に枯渇させるように設計されています。これにより、免疫細胞を大幅に減少させ、「免疫システムのリセット」と呼ばれる状態を促進し、治療終了後も持続的な寛解を可能にすることを目指しています。

Cabaletta Bioの最高医療責任者によると、筋炎は特に未充足の医療ニーズが高い疾患です。現行の標準治療は効果が限定的で、多くの患者が治療継続中にも不十分な反応を示しています。この疾患は筋肉組織だけでなく、肺、心臓、皮膚など複数の臓器系に影響を及ぼし、時には生命を脅かすこともあります。

臨床試験の進展

RESET-Myositis試験は、フェーズ1/2のオープンラベル試験で、18~65歳の活動性疾患を持つ患者を対象にCABA-201の評価を行っています。この試験は、皮膚筋炎、抗合成酵素症候群、免疫媒介性壊死性筋炎の3つの疾患サブタイプを含み、米国内で約66,000人の患者に影響しています。

参加者は、1 x 10⁶細胞/kgの用量でCABA-201を単回投与され、前処置としてフルダラビンとシクロホスファミドを用います。試験の設計は、Cabalettaの広範なCARTA(Chimeric Autoantibody Receptor T cells for Autoimmunity)戦略に類似しており、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、重症筋無力症など複数の自己免疫疾患に対してCABA-201を評価する4つの同時フェーズ1/2試験が進行中です。

疾患の現状

筋炎は主に中年層に影響し、女性の割合が高いです。疾患の正確なメカニズムは完全には解明されていませんが、近年の科学的証拠は、いくつかのサブタイプにおいてB細胞の関与が示唆されています。現在の治療は免疫抑制薬や静脈内免疫グロブリン療法などが中心ですが、多くの患者は十分なコントロールが得られていません。

プラットフォームの拡大展開

Cabaletta Bioの治療プラットフォームは、CABA-201にとどまらず、CAART(Chimeric Autoantibody Receptor T cells)戦略も推進しています。これには、粘膜性天疱瘡やMuSK型重症筋無力症など、特定の自己免疫疾患を標的とした候補薬も含まれます。

CABA-201に対する規制認証は、エンジニアリングされた細胞療法を通じて自己免疫疾患に取り組む同社のアプローチの正当性を証明するものであり、症状を抑えるだけの治療から根治を目指すパラダイムシフトの可能性を示しています。

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